ウェルビーイング経営

ウィークリーレポート

最新版
最新レポート

ウェルビーイング経営ウィークリーレポート:トップ5トレンド

テクノロジーの進化と標準化が二つの大きな潮流となっていることを示しています。AIの導入が生産性向上とメンタルヘルスリスクの双方をもたらす「AIパラドックス」が顕在化する一方で、ISOによる国際規格の策定が、企業の取り組みを標準化し、より戦略的なものへと進化させる土台を築いています。

5つのトレンド解説

コンサルタントの視点

今週のウェルビーイング経営の動向は、テクノロジーの進化と標準化が二つの大きな潮流となっていることを示しています。AIの導入が生産性向上とメンタルヘルスリスクの双方をもたらす「AIパラドックス」が顕在化する一方で、ISOによる国際規格の策定が、企業の取り組みを標準化し、より戦略的なものへと進化させる土台を築いています。日本企業は、このグローバルスタンダードをいち早く導入し、自社の取り組みを客観的に評価・改善する体制を構築すべき時期に来ています。

トップ5トレンド

1
国際規格の登場:ISO 25554:2024がゲームチェンジャーに

概要

2024年に策定された国際規格ISO 25554:2024は、地域や企業がウェルビーイングを推進するための基本的なプロセスを定めています。コミュニティの定義から目標設定、指標化、実装、効果測定、レビューという一連のサイクルを定義しており、企業はこれに基づき、自社の取り組みを体系的に評価・改善できるようになります。

日本企業への示唆

曖昧だったウェルビーイングの概念が、測定・改善可能な経営指標へと進化。グローバル基準をベンチマークとした戦略策定が不可欠に。これは、ウェルビーイング経営が「良いこと」から「測定可能な経営戦略」へと転換する歴史的な節目です。

参考資料

Fitness BusinessISO 25554:2024
2
AIパラドックス:生産性向上とメンタルヘルスリスクの二律背反

概要

AIの導入は業務効率を飛躍的に向上させる一方で、従業員のメンタルヘルスに新たな影を落としています。組織レベルでのAI導入が進むほど、従業員の仕事のストレスや燃え尽き症候群が増加する傾向にあることが研究で示されています。ただし、従業員がAIに対して高い能力と有効性を感じている場合には負の影響が緩和されることも分かっています。

日本企業への示唆

AI導入は不可避だが、従業員のAIリテラシー向上と心理的サポート体制の構築を同時に進めなければ、生産性低下や離職リスクを招く。

参考資料

Forbes JAPANHumanities and Social Sciences CommunicationActa Psychologica
3
「見えない損失」の定量化:ROI分析の新たな地平

概要

健康診断でA判定を受けた従業員でも、実際には生産性が低い場合があります。従来の健康診断は「点」での評価に過ぎず、日常的な健康状態や予兆を捉えられません。プレゼンティーイズムによる「見えない損失」を定量化し、ROI(投資対効果)を算出するアプローチが注目されています。WHOの研究では、メンタルヘルスやウェルビーイングへの1ドルの投資が4ドルのリターンを生むとされており、McKinsey Health Instituteは、従業員のウェルビーイング向上が世界経済に最大11.7兆ドルの価値をもたらす可能性があると試算しています。

日本企業への示唆

経営層を説得する最強の武器は「データ」です。「見えない損失」を金額換算することで、ウェルビーイングへの投資が「コスト」ではなく、将来の利益を生み出す「戦略的投資」であることを明確に示せます。

参考資料

FiNC for BUSINESSWHOMcKinsey Health Institute
4
テクノロジーによる超パーソナライズ化の加速

概要

画一的な福利厚生は終わりを告げ、テクノロジーが個々の従業員に寄り添う時代が到来しました。Microsoft社が全社導入する「Viva」プラットフォームは、AIを活用して従業員一人ひとりの学習やインサイトをパーソナライズし、ウェルビーイングと生産性の向上を支援しています。NECグループが導入した「Cradle」は、専門家によるセミナーや相談窓口を提供し、特に理解が遅れがちだった女性特有の健康課題へのリテラシー向上に成功しています。

日本企業への示唆

従業員体験(EX)の向上は、顧客体験(CX)の向上と表裏一体です。多様な従業員一人ひとりのニーズに、テクノロジーを用いていかにきめ細かく応えられるかが、企業の競争力を左右します。

参考資料

MicrosoftCradle電通総研
5
経済的要請の高まり:市場の急成長とZ世代の価値観

概要

ウェルビーイングは、もはや単なるCSR活動ではありません。明確な経済的機会となっています。従業員エンゲージメント市場は2031年までに25.8億ドルへ、企業ウェルネスコンサルティング市場は2035年までに28億ドルへと、それぞれ倍増する見込みです。この市場の成長を牽引しているのが、Z世代とミレニアル世代です。McKinseyの調査では、この世代の約30%が1年前よりウェルネスへの関心を高めており、他の世代を圧倒しています。

日本企業への示唆

少子高齢化による労働力不足が深刻化する日本において、若手人材の獲得と定着は最重要課題です。ウェルビーイングへの投資は、採用ブランディングを強化し、優秀な人材を惹きつけるための最も効果的な戦略の一つです。

参考資料

Mordor IntelligenceMcKinsey360 Research Reports

このレポートについて

本レポートは、ウェルビーイング経営に関する最新の研究、企業事例、業界動向を毎週精査し、日本企業への実践的な示唆をお届けするものです。コンサルタント視点から、グローバルトレンドと日本市場の特性を踏まえた分析を行っています。

最終更新:2026年1月26日